2018年8月24日、セブ市で車を運転していた妻(当時71歳)に対して、殺害を指示したとして殺人罪で起訴されていた夫(78歳)に神戸地裁は懲役17年の判決を下した。

夫と妻は1990年代からセブ島で雑貨製造、輸出の会社を経営していたが、夫は現地に愛人(28歳)を持ち子どもをもうけるなど夫婦間の諍いは絶えなかったが、会社を妻に譲渡した。
しかし、夫は経営権を取り戻すことを画策し、愛人などと共謀して妻殺害を計画し実行に至った。
事件はオートバイに乗った犯人が交差点で停車した妻の車の窓越しに発砲し、妻は即死し実行犯は逃亡した。
この実行犯は違法薬物事件で摘発された事件から、愛人、日本人夫の関与が明るみになり逮捕され、愛人と実行犯は違法薬物事件では既にセブの裁判所によって有罪判決が出ている。
その後、兵庫県警の捜査によって日本に住んでいた夫の逮捕、今回の判決に至った。
なお、セブで逮捕された愛人と実行犯は殺人罪で起訴されていて、現在裁判が進行中だが日本側で殺人罪による有罪判決が出たために、セブ側被告2人は司法取引によって罪の軽減を図る動きが出ている。
神戸地裁で開かれた裁判は『裁判員裁判』であったが、検察側の懲役20年の求刑に対して、弁護側は起訴内容を認めたものの被告の高齢も考慮して懲役12年を主張していた。
裁判では検察側の主張を認め、愛人に送る生活費と自身の生活費のために妻を殺害する行為は利己的な動機として断罪された。
この事件は日本国外で犯罪を企図、実行しても本人が日本に居れば罪に問われないなどと思い込んでいる輩に一徹を加えるもので『国外事犯』として逮捕、起訴されることを改めて示した。
【写真は判決を出した神戸地裁】
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