昨年8月2日、ルソン島中部ラグナ州カブヤオ市(人口33万人以上)にあるヴィレッジ内で82歳(千葉県出身)の邦人女性が自宅で何者かによって殺害された事件で、捜査当局は22歳と15歳の男を強盗殺人の疑いで2月20日までに逮捕したこと発表した。

事件はコロナ禍で外出禁止中の大雨の夜中に発生し、容疑者達は張り出した屋根の天井を破って屋内に侵入し被害者を縛り上げて殺害し、現金4万1千ペソ(約8万9千円)や貴金属、携帯電話などを奪って逃走。
被害者は夫婦で同宅に住んでいたが、夫は数年前に死亡しその後は独居生活を続けていた。
事件発覚直後から、容疑者はかなり早い前から特定されていたが当人達は当日のアリバイを主張し、またフィリピン警察の証拠収集能力欠如からなかなか逮捕に至らなかった。
フィリピンで外国人が殺害など重大事件に巻き込まれた場合、遺族や関係者などによる捜査側へ有形無形の援助、あるいは大使館筋の圧力がないと、事件解決には動かず迷宮入りになるという説があり、今回の解決に向かう逮捕もその例になるのではと見られている。
しかし逮捕に至ったとはいえ、検察が起訴をし、裁判で有罪になるかは別の話で、事件を証拠よりも、証言で組み立て重視する方法の多いフィリピンの刑事訴訟では、真夜中に起きた事件のために今後いくつもの問題が生じる恐れがあり予断を許さない。
【写真は事件のあった住宅で容疑者達が侵入した天井裏を調べている様子】
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