新型コロナ累計感染者80万人台になり、今後も1日当たり1万人の感染者を生じるのではないかと予測されている中、コロナ感染重症者の致死率を下げると注目されている抗寄生虫薬の『イベルメクチン』を使えるようにする動きが活発化している。

同薬は2015年にノーベル生理学・医学賞及び日本の文化勲章を受賞した大村智(元北里研究所所長)がゴルフ場で発見した菌を基に開発された薬品で、主に動物用の特効薬として使われている。
この『イベルメクチン』は『ストロメクトール』という商品名で日本の会社が販売していて人間の疥癬の薬としても服用され効果を上げている。
この薬が新型コロナ患者に投与したところ、効果のあった報告があり、一部のメディアではもてはやされているが、医療関係者の中では意見が分かれている。
フィリピンでは既に動物用として販売されていて、コロナに感染した下院議員がこれを服用したところ、効果があったとし、現在動物用に許可されている同薬を、医薬品監督の食品医薬品局(FDA)に新型コロナ治療薬として使えるように要請を行っている。
この動きを受けてFDAは3月末に『重症患者の要望と医師の要請』があれば認めるとし、医薬品として申請があれば承認審査を行う旨を発表した。
また、フィリピンの製薬会社2社がFDAと会合を持ち、新型コロナ治療薬としてフィリピン国内で生産するための申請を行うと表明した。
『イベルメクチン』は新型コロナに対して効果があると喧伝され、医者の指示なしで服用する例が増え、中にはインターネットを通じて購入する者も続出し、同薬の治験による安全性は確認されていなくてその危険性について警告が出ている。
素人目にも『菌』と『ウィルス』は同じ生物ながら別物で、菌用に開発された同薬がウィルスに効くのかと疑問を持つが、新型コロナが世界中で爆発している状態では藁にも縋りたい人も多いのも事実。
しかし『急いては事を仕損じる』という格言もある。
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