フィリピンでの新型コロナ・ワクチン接種は無料で行われているが、遅々として進まない状況から、金を払えばワクチン接種が出来ると営業をする人物が多く現れ、政府以下関係機関は警戒を強めている。
こういった人物はSNSなどを通じて営業をしていて、その価格は1万~1万5千ペソに設定されていて、この価格は平均的フィリピン人の月収に相当する。
フィリピンにおけるワクチン管理は政府と自治体が行っているが、これら管理機関からの『横流し』は明らかであり、また薬事行政当局はワクチンの販売、広告などは違法であると警告し、国家警察などが捜査を開始している。
特に首都圏は接種斡旋が顕著で、マニラ市長は市内でワクチン販売を禁止する条例を発令し、違反者には5000ペソの罰金と6ヶ月以下の禁固刑を科すとしている。
これは首都圏で最初のワクチン販売禁止条例となり、マニラ首都圏を構成する各自治体も追随すると見られている。
ただし、こういった対策も既に遅過ぎるという指摘もあって、例えば中国人コミュニティーでは私的なワクチン接種が進んでいて、並行して富裕層は政府の無料ワクチンなど当てにせずに接種が進んでいるのが実態である。
こういった『横流し』など、フィリピンでは珍しいことではなく、例えば警察の押収した違法薬物がいつの間にか消えて市場に流れているなど数多く、モラルより金という風土の影響が大きい。
こういったワクチン仲介者が出て来るのも、日本並みに進まないフィリピンのワクチン接種状況が背景にあり、横流しという問題はあっても仕方がないと見る向きも多く、いつでも金のない層は置き去りにされるという世相を炙り出している。
なお、フィリピンの民間調査機関の最新調査では、新型コロナワクチン接種について望む32%。望まない33%、迷っている35%と3つに分かれている結果が出ている。
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