世界保健機関(WHO)が今年の2月から緊急事態を宣言している『ジカ熱』は赤道を挟んだ南北の国々で流行しているが、フィリピン保健省(Department of Health =DOH)は最近の調査で6人の発症患者を発表し、これで国内での発症者は通算9人に上ることを確認した。
 今回の6人の中にセブ市在住の22歳女性が1人含まれ、またパナイ島最大都市のイロイロ市では4人の発症者があった。
これら患者は既に回復しているが、海外への渡航歴はなくフィリピンでの流行が懸念されている。
ジカ熱はデング熱やマラリアと同様に『蚊』がジカ・ウィルスを媒介するもので、有効な薬やワクチンなどはまだ作られていない。
しかしながら、ジカ熱による直接の死亡はなく発熱、筋肉や関節痛、頭痛、発疹などがあり、これらはデング熱と似た症状になるが、デング熱よりは発熱は低く、数日で回復する。
蚊に刺され発症までの潜伏期間は数日から1週間と見られ、デング熱同様蚊に刺されない事が一番の予防法で、室内の花瓶の水からも発生するネッタイシマカの駆除が最重要対策となっている。
感染症としては重篤な状態にならないジカ熱だが、妊婦が感染すると胎内の子どもへの影響が甚大で『小頭症』の事例が多数確認され、WHOはジカ熱流行地への妊婦の渡航について警告を発している。
また、最近ではジカ熱ウィルス保持者による性的接触による感染も報告されていて、流行地から帰国後の性的接触は避けた方が良いとの見方も出ている。
DOHはジカ熱に対する無用なパニックを防ぐために、デング熱同様に地域の蚊の繁殖する環境をなくし、長袖、長ズボンを着用すれば感染は防げると呼びかけている。
なお、デング熱に関して本年2月から8月にまでの統計が関係当局から発表されていて、これによるとセブを含むヴィサヤ地区では大流行していて、昨年は3740人の感染者であったが今年は9372人が感染し、死者も昨年は19人であったのに対して31人と激増。
セブ島内の自治体別ではセブ市の罹患者1331人、死者7人、以下マンダウエ市415人、死者9人、西海岸トレド市357人、死者2人、マクタン島ラプラプ市278人、死者5人などとなっている。
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