
11月6日、スールー海ラプラン島近くの海域【図参照】に放棄されたヨットが地元漁師によって発見され、ヨットには殺害された女性が裸の状態で放置されていた。
ヨットに残されていたパスポートなどから殺害された女性は59歳のドイツ人で、一緒に乗っていた70歳のドイツ人は行方不明となっている。
発見された遺体はミンダナオ島西部の最大都市サンボアンガ市に運ばれ検死されるが、銃撃を受けていて顔に打撲もあり、レイプされた可能性もある。
軍当局によると、遺体のそばには散弾銃があり、当海域を根拠にする犯罪集団に襲われた可能性が高く、誘拐、拉致を数多く実行している『アブ・サヤフ』の犯行ではないかと見られている。
アブ・サヤフは2015年9月、現大統領地元のダヴァオ市沖合にあるサマール島の高級リゾートで3人の外国人、1人のフィリピン人を拉致した事件を起こしていて、身代金要求を拒否したと見られるカナダ人2人は斬首された状態で相次いで発見された。
もう1人のノルウェー人とフィリピン人は解放されたが、解放に当って身代金が支払われたかどうかは不明。
今回の事件についてアブ・サヤフ側の情報筋によると襲われた2人は、マレイシア・サバ州からスールー海へ航海中に、アブ・サヤフ側の写真を撮っていた可能性があり、それで襲われたという話も伝わっている。
アブ・サヤフは現在分かっているだけでもオランダ人1人、マレイシア人5人、インドネシア人2人、フィリピン人7人の計15人を拉致し、身代金交渉をしていると見られているが、過去に得た身代金の額は莫大で、犯行を増々拡大させている。
襲撃されたヨットの名前は『Rock All』で、今回襲撃された2人のヨットは2008年に、アフリカ・ソマリア沖で海賊に襲われていて、52日後に2人は解放された経緯を持っている。
2009年に2人はソマリアにあったヨットを回収して航海を続けていたと見られ、今回はソマリア沖同様の海賊が出没する危険水域のスールー海で難に遭い、危険海域を足の遅いヨットで航行していた理由などは不明。
発見されたヨットはスールー海の中心タウィタウィ島ボンゴア港に運ばれ、調べられているが、連れ去られたドイツ人男性の消息は全く分かっていない。
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