ルソン島中部パンパンガ州アンヘレスには、かつてアメリカ軍が残したアジア最大の空軍基地があり、アメリカ軍が撤退した後に経済特区として開発中で、その一つに日本でも景気回復用に取り上げられている『カジノ』施設があり、周辺にも同類施設が増殖している。

そういった施設に従事する従業員や関係者が『違法滞在者』という指摘は従来からあっても、前政権時代は政治絡みで目こぼし状態であった。
しかし、ドゥテルテ政権になって現在進めている『違法薬物撲滅』に加えて『違法賭博』の取り締まりを強化、実施すると11月初頭に国家警察高官が表明していた。
その取締りの一環と見られる当局の動きが入国管理局と警察の合同部隊が、11月24日の週末に同地で営業するFontana
Leisure Parkなどを急襲し、違法賭博関与と違法滞在容疑で翌未明までに1316人の中国人を検挙した。
これら容疑者は中国から旅行者としてフィリピンに入国し、コール・センターの業務に就くと見せかけて『オン・ライン賭博』を行い、検挙された容疑者の中には既に滞在ヴィザが失効している者もあった。
1316人は取り調べを受けているが、最終的には中国へ強制送還されるために国外退去処分の手続きが進められている。
検挙された1316人の内訳は不明だが、これら大量の容疑者は犯罪組織の末端でしかなく、中国本土からフィリピンに人間を送り込み働かさせる中国側の役人を巻き込んだ組織や資本の流れがあると見られるが、その解明はフィリピン当局には難しいと指摘されている。
なお、同地区では4月にインターネット違法賭博容疑で中国人と韓国人計20人が逮捕されていて、10月には首都圏マカティ市でコール・センターを装って違法なオン・ライン・カジノを運営していた中国人61人が逮捕されている。
また、11月にはセブ市で台湾人を中心にした振り込め詐欺団24人が摘発されていて、フィリピンに在住する外国人国籍の数に比例するように、これら外国籍の違法行為は増えている。
【写真は摘発されたFontana
Leisure Park 同社HPより】

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