フィリピン厚生省は、2019年1月1日から2月9日までのはしか感染者数は4302人となり、前年同時期の1935人と比べて2倍以上になったと2月11日に発表した。

これによると、はしか感染による死者数は前年同期の18人から4倍にも上がる70人となり、内55人は『予防接種を受けていなかった』とはしか感染への警戒を呼び掛けている。
はしかは栄養状態が良ければ死亡に至らないとされ、慢性的に栄養状態の悪い貧困層の乳幼児がはしかの犠牲となっていて、貧困と疾病に密な関係があることを証明している。
厚生省は流行を食い止めるためにはしかワクチンの接種を呼びかけているが、2017年に『デング熱予防ワクチン』の危険性が問題になり、ワクチン接種への信頼性が薄らぎ、子どもへの接種を親が控えていることが流行の原因になっていると分析されている。
同省ははしかワクチンはその安全性は確立されていて、はしか流行を防ぐためにもはしかワクチンの接種を受けて欲しいと呼びかけるものの、デング熱ワクチン問題はアキノ前政権時代の不手際とされ、追及もされているが、真相解明に至っていない。
この国内大流行を受けて同省は、既に次の四地域を『アウトブレイク=集団感染』にあると宣言した。
一番流行しているのはマニラ首都圏の感染者1296人、死亡18人、次に首都圏に接する南部カルバルソン地域の感染者1086人、死亡25人、中部ルソン地域感染者481人、死亡3人と人口の多い地域に流行していることが分かる。
残る一地域はセブを中心とした東ヴィサヤ地方で感染者212人、死亡4人となっていて、セブでは既に自治体を中心にはしか流行への警戒措置が取られている。
また、流行地宣言はまだ出ていないが、ミンダナオ島北部では189人の感染、5人の死亡が確認されていて警戒感が高まっている。
はしかはウィルス【写真】が空気、接触、飛沫などによって感染し、潜伏期間は1~2週間で、38度前後の発熱を伴った風邪と似た症状からやがて発疹。
特効薬はないものの対処療法で回復するが、体力のない乳幼児は失明や脳炎など合併症による危険は高い。
はしかは一度感染すれば二度感染しない病気と言われ、その中で日本でははしかワクチンの学童などへの予防接種は普及しているが、1977年より前に生まれた世代は受けていなくて、またワクチンの受けた種類によっては免疫が付いていない可能性があり感染への注意が必要とされる。
はしかの感染力は強く、日本では旧来のはしかウィルスは根絶されたとされているが、はしか流行の国から帰国した者からの感染事例は数多く、フィリピンの大流行から日本の検疫当局でも警戒を強めている。
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