日本でも大規模感染中のアフリカ・トン・コレラ(英名classical swine fever=ASF)が、首都圏北方のブラカン州やリサール州で発生した疑いが強まり、隣接する州などでは他州からの豚の持ち込み禁止措置を始めた。
 この事態を受けてフィリピン農務省は豚の大量死がブラカン州などで発生していることを認めながら、流行(アウトブレイク)ではないとしつつ、疑いのある地域から半径1キロ以内の豚の殺処分を続けている。
一方、ASFに感染し死亡した豚肉からは人間に感染しないために、その死肉が国内闇市場に流通することを衛生当局は警戒している。
また、距離的にかなり離れたルソン島北部北イロコス州やヴィサヤ地域のセブ州などでも豚と肉の移動を禁止する措置に次々に出し、セブ州は100日間と期限を切っている。
こういった遠隔地がASFの感染を怖れているのは、感染が疑われ死亡した豚の血液検査が国内ではできなく、海外に委託しその鑑定結果が出るのは2週間から3ヶ月もかかるためで、結果が出る間に感染が拡大するためである。
実際、ASF感染の疑いの出ている豚が『裏庭飼育』という小規模飼育所で首都圏近郊で多数発生していて、これらの豚は殺処分されているが、防疫体制は後手に回っている。
ASFは2018年8月に中国で発生し、2019年2月にはヴェトナムで、同年3月にはカンボジアで、5月に香港で発生が確認されるなどアジアで発生範囲を広げいる。
そのためフィリピンは空港や港での貨物検査を強化するなど、対策を続けてきたが感染が疑われる事態に至っている。
フィリピンの豚肉生産量はアジアでは中国、ヴェトナムに次ぎ、その生産量は232万トン余となっているが、今回のASF感染が爆発的に拡大すると国内食肉市場が混乱し、消費者にも多大な影響が出ると懸念されている。

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