ドゥテルテ大統領がフィリピン屈指の観光地『ボラカイの海は汚水溜めと同じ』と怒り、半年以内に改善が見られないなら『全島を閉鎖』する発言をしてから、環境行政を司る環境省が慌てて対策を始めている。
 この問題は、ボラカイに限らず観光開発優先で事業者の利益を計っていた自治体や、観光地に住み観光業に従事する住民にも環境問題を放置していれば自分たちの首を絞めるという警鐘を鳴らしている。
やはり環境庁長官がセブの代表的なリゾート地、マクタン島【写真】やセブ島北部にあるバンタヤン島なども環境汚染が憂慮されると表明し、違反している場合はボラカイ同様閉鎖措置を取ると言明した。
この事態を受けて観光省は3月2日にボラカイ島にて関係者が集まって会議を開くこととなったが、環境汚染の根は長年に渡っていて深く、一朝一夕に解決できない問題となっている。
ドゥテルテ発言を受けて慌てて観光省がボラカイのホテル事業者など150ヶ所の下水処理状態を調査したところ、25ヶ所のみが適切で、残りは下水処理をせずに直接海に流していた実態が明らかになった。
同様に環境省は51の施設が排水処理法違反と指摘し、職員を派遣して水質調査をすることにしたが、今更という声も内外から批判されている。
また、同省は海岸線から30メートル以内に建造物を造れない法令違反や、保護地区指定地に建造物がある例を挙げたが、これまで法令違反を承知で見逃し建築させていた行政当局にも問題があるのではとの指摘も強い。
このにわかに起きた環境汚染問題で地元の観光に関連するホテルなどの企業側は、観光客減少の危機感を強め、取締当局に法令違反をし改善を怠った事業所名などの実名を公表しないように要望しているが、自分の儲けしか考えない虫の良い要望と批判を浴びせられている。
フィリピンの著名観光地における環境汚染は下水道及びゴミ処理が不十分、また不法体質もしくは全く関心のないことから引き起こされたものだが、これでようやく環境汚染対策の一歩が始まったと見られている。
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