タイ、カンボジア、ヴェトナムなど新規エイズ(HIV)感染数が減少傾向の中、2017年度のフィリピンの感染及び発症者は合計11103人となり、これは統計を取り始めて初めて1万人を超えて過去最多になったと、フィリピン厚生省は2月中旬に発表した。
 この内訳は新規感染者数は9688人、新規発症者は1415人となっている。
また、2017年度のエイズによる死者は497人となり、これで統計を取り始めた1984年からの累計死者数は2466人となった。
エイズ感染者は1985年には6人であったが、その11年後の1996年に100人を超え、2010年には一桁上がって1000人台に達している。
その後、新規感染者数は急激に増え、2015年に7328人、2016年に8151人と急カーブで増え続け勢いは止まらない。
これは確実に感染を防げる『コンドーム』使用を嫌がるフィリピンの国民性と、コンドーム使用自体がフィリピン・カトリック教会から忌避されている事情も多分に強い。
このコンドームに関しては、ドゥテルテ大統領が『使うと気持ちが良くない』などと公の場所でヌケヌケと言い放つこともあり、エイズ感染を助長しているとの批判もある。
2017年度の新規エイズ感染、発症者の男女別割合だが90%以上に上る10586人が男性であった。
特に男性間の性交渉で感染する例が多く、その場合でもコンドームを使うよう厚生省は注意を促している。
また、年齢別では15歳~24歳が3451人、25歳~34歳が5581人と、若年層の感染、発症が急増している。
地域別ではマニラ首都圏が最多で3981人、隣接するカラバルソン地域が1807人、中部ルソン地域が1153人と続き、ルソン島で急増しているが、ヴィサヤ地域セブなど人口の多い都市部に新規感染、発症者が多く例外の地域はない。
フィリピンの特徴として海外で就労中に感染する例が多く、2017年度の新規感染者は814人となった。
この新規感染、発症について厚生省はエイズ教育の啓蒙を計り、簡易な測定で血液検査を行うようキャンペーンを始めているが、歯止めが効いて効果が出るかどうかは未知数。
同様にエイズ感染者が急増する中、海外から買春に来る外国人旅行者に対しても、買春は感染リスクが高いと注意を喚起している。
【写真はエイズ・ウィルスがリンパ球に結合している様子】
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