 ミンダナオ島サンボアンガ市で、同地に住む73歳の日本人が、殺し屋を使って30歳のフィリピン人妻を殺害した容疑で、4月17日に現地警察に逮捕されたが、取り調べが進むに連れて、この容疑者は保険金目当ての犯行との疑いが出ている。
事件は2017年12月21日、オートバイタクシーに乗って帰宅中の妻が、同容疑者宅近くの路上で何者かによって顔面に銃撃を受け死亡。
この実行犯は逃走したが、その後の調べで事件には逮捕された日本人を含めて4人が関与していることが分かった。
また、犯行動機として、最初は両者の年の差が大きいことから、痴情の縺れではないかと見られていたが、捜査が進むに連れて、この日本人は殺害された妻に3000万円の保険をかけ、殺し屋に殺害を依頼した容疑が濃厚となった。
フィリピンの日本人が絡んだ保険金殺人事件は、かつてほどではないものの後を絶たなく、日本人の夫がフィリピン人妻に保険金をかけて殺害、しかも逮捕されるケースは非常に珍しく、今後の捜査、裁判が注目されている。
逮捕された日本人夫がいつからサンボアンガ市に住み始み、その生活も詳細は分かっていないが、この日本人には賃貸している不動産があり、それを妻が管理をしていたと捜査の過程で明らかになっている。
サンボアンガ市はミンダナオ島北西部の半島先端にあり、ミンダナオ島ではダバオ市に次ぐ人口90万人を擁する。
同地は反政府武闘派による活動が激しいにも関わらず、この地域で暮らす在留邦人の数は2010年の在比日本大使館の調査によると16人となっていて、現在はその倍以上の日本人が定住しているのではないかと見られている。
サンボアンガ市では2010年に60歳台の日本人が殺害される事件が起きていて、その後事件が解決に至ったという話は聞かず、フィリピンで起きた邦人殺害事件はほとんどが迷宮入りで、解決するのが珍しいのが現状となっている。
また、今回の犯行動機として保険金殺人としているが、保険会社も昔ほどフィリピン案件は簡単に保険金を支払わず、この手の事件絡みではほとんどが裁判で争われていて、実質的に支払い拒否をされているのが実情である。
なお、今回の事件で日本人夫は『尊属殺人』として取り調べを受け、裁判所もそれを認めて逮捕状を発行し、保釈無しの決定がなされ市内の拘置所に送られた。
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