2013年11月8日、フィリピン中部域を襲った台風『ヨランダ(台風30号)』は国内各地で8000人近くに達する死者行方不明者を出した。

100年に1度ともいわれる超大型台風被災から4年も経ちながら、被災地の復興、復旧の遅れが数多く指摘されている。
セブ島では北部域を中心に被害を受け、中でも校舎の屋根を吹き飛ばされる、あるいは倒壊するなど学校施設の損傷を受けた114の公立学校で、まだ50校しか復旧、修理が完了していないことが明らかになった。
教育省(Department of Education =DepEd)のセブを中心に管轄する地域責任者は、被災学校復興資金として1億2千6百万ペソ(約2億9千万円)を割り当てられたが、予算の少なさ、建設業者の能力不足によって計画通り進まないと責任逃れの『言い訳』を述べている。
また、政府が進めるヨランダの被害を受けたレイテ島、サマール島を中心の『再定住恒久住宅』プロジェクトも大幅に遅れていることが明らかになっている。
このプロジェクトは危険地帯に住み高潮や暴風雨によって住居を失った住民を救済するが、当初20万5千戸が必要とされていた。
しかしながら4年経っての進捗は3分の1しか完成せず、しかも、完成した家に入るのが被災対象者の12%に満たない状態となっていて、その不人気ぶりが際立っている。
これは被災者用の再定住住宅の多くが不便な場所に造られ、職と住いが断ち切られているためで、首都圏で進められている不法占拠者に対する再定住住宅政策と同じ失敗を繰り返していると指摘されている。
また、ヨランダ被災者に向けて各国からの義捐金がまだ被災者に渡っていない不満が被災者側から起きていて、義捐金はどこに消えたのかとフィリピンの汚職体質を糾弾する声もある。
それでも少しずつ復興、復旧は進んでいるが、その対策が場当り的で、再び大きな台風が襲ってきたら同じ被害、轍を踏むのではないかと見られ『防災』への取り組み方が弱いとの指摘もある。
【写真はヨランダ被災直後のセブ島北部にて】
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