台風26号『ウルドゥハ』で大きな被害を受けた北部ヴィサヤ地方に続いて、台風27号『ヴィンタ』がミンダナオ島北部から西部に抜けて同地域に大きな被害をもたらした。

台風の多いフィリピンでも12月の下旬になって台風が襲うのは極めて異例、しかも台風がミンダナオ島を横断する動き方から、気候温暖化によるフィリピン近海の海面温度上昇が指摘されている。
台風ヴィンタはミンダナオ島北部から西部にあるサンボアンガ半島近くを通り、この地域で大雨による洪水、鉄砲水、土砂崩れが各地で発生し、クリスマスの25日までに分かっているだけでも死者239人に達し、今後分断された地域の状況が分かるに連れて、死者は増えると見られている。
救援活動を行っているフィリピン赤十字によると、同地域で避難した人は7万人以上で、内5万人が避難所で過ごしているが、洪水などによって援助物資などの輸送に困難な地域が多数ある。
ミンダナオ島は台風の襲来しない島とされていて、今回同地域を襲った台風に対して自治体や住民の間に台風に対する知識、警戒感が薄く被害は広がってしまったとの見方も強い。
フィリピンには年間20以上の台風が上陸するが、避難警報を出されても、沿岸部や川岸に住む住民が警報を軽んじ、これが人的被害を拡大させているため、防災教育の必要性が叫ばれているが、政府の腰は重い。
また、洪水が発生したのは同地域の木の伐採、河川管理の不備などが挙げられ、ミンダナオ島で進められている、赤字必至の鉄道や、道路造りなどよりも優先されるべきではないかとの意見も強い。
なお、台風ヴィンタはミンダナオ島を通過の後、パラワン島南部の南シナ海を通り、ヴェトナム方面に向かった。
このため、ヴェトナム政府は6万2千隻以上の船に出航禁止命令を出し、15の省や市などでは100万人以上を避難させる予定で、既に南部沿岸地区を中心に8万人近くが安全な場所へ避難し、ヴェトナム最大都市のホーチミン市の学校では25日を休校措置とした。
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