セブ州内でデング熱感染が急増しているために、Provincial Health Office (PHO)=セブ州保健事務所とセブ州議会は『州内はデング熱感染地域』として容易ならぬ事態であるとの認識を示した。
PHOによると、今年の第2四半期(4月~6月)に入ってデング熱感染が爆発的に増え、9月末までの統計によると昨年同期比から1.4倍に当る6808人の感染が確認された。
デング熱は同州に限らずフィリピン全土で感染者が増えていて、これまで国内でのデング熱による死者は125人を数えるが、その内セブ州内での死者が半分以上も占める67人を記録する事態に至っている。
PHOはこういった事態に対して『流行封じ込めのために全力を挙げて取り組んでいるので、不必要に心配しないで』と呼びかけているが、爆発的な流行に対して、効果的な対策は示されていない。
それに対して行政側のProvincial Disaster Risk Reduction Management Office (PDRRMO)=セブ州災害リスク削減管理事務所は予算4600万ペソ(約1億1千万円)からデング熱対策費支出を決定したが、その額はわずか150万~160万ペソ程度と見られ焼け石に水状態は変わらない。
また州議会の保健委員会は1350万ペソの予算を、今年度の第4四半期と次年度の第1、第四半期に薬剤購入のために支出するよう見通しとなったが、こちらも効果的に大流行を食い止められるかどうか疑問視されている。
デング熱はネッタイシマ蚊がデング・ウィルスを媒介する疾病で、世界中で1億人が感染すると見られ、特に赤道直下から南緯の諸国に流行し、110ヶ国以上で風土病として存在している。
通常は発疹を含む風邪と似た症状を見せるが、ワクチンや治療法は現在まだ確立していなくて、最初と異なるデング・ウィルスに感染して2度目の発症になると出血性ショック死を起こす。
デング熱の防疫方法は薬剤散布による撲滅やネッタイシマ蚊が繁殖する溜まり水の排除が重要で、家庭内の花瓶の水でも繁殖するため注意が必要である。
【写真は対策に追われるセブ州庁舎正面】
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