5月6日、マニラ市キアポのイスラム教徒居住区内にある弁護士事務所で午後5時55分頃爆発があり2人が死亡した。
 死亡したのは爆弾が装置された小包を届けた配達員とそれを受け取った弁護士事務所の事務員で、この弁護士事務所を狙った何者かの犯行とみて警察は捜査を進めていた。
その捜査の最中、同日午後8時30分頃、最初の爆発があった現場から15m先で2回目の爆発が発生。捜査に当っていた警官2人が負傷した。
キアポでは首都圏で行われていたASEAN首脳会議の期間中の4月28日に、14人が負傷する爆弾事件が発生し、相次ぐ爆弾事件に対して捜査当局は個人的な怨恨などを含めて慎重に捜査を進めているが不特定多数を狙った『テロ』ではないとの見解を出している。
しかし、今回2人の死者を出した事件では、爆弾を送られた弁護士がイスラム教シーア派の地元幹部であり、インターネット上で脅迫を受けていた事実もあり、事件との関連や犯行動機などが、イスラム過激派によるとの見方も浮上している。
これは今回の犯行に対してイスラム国(IS)がシーア派を狙ったとの声明を発しているためだが、捜査当局は『ISの自己宣伝に過ぎない』と否定、一蹴している。
マニラ首都圏では2000年12月30日、首都圏で最初に敷かれたマニラ軽量鉄道=LRT-1号線の車内で爆弾事件が発生し死者22人、負傷者数百人を生じる大惨劇が発生。
その事件は武闘派イスラム組織に属するメンバーが数名逮捕されたように、過去に多数の爆弾事件が発生している。
これは軍隊経験者や地方のボスが抱える私兵団などからの人間が武闘派に加わり、爆発物の入手も容易な事から起きている。
こういった事件はマニラ首都圏に限らず、4月には安全といわれたヴィサヤ地区中央部の、観光で脚光を浴び、新国際空港を建設中のボホール島でイスラム武闘派と警察の部隊が交戦し、死者が発生している。
しかも、現場はセブ島に最も近い位置にあり、セブ島も必ずしも盤石の安全とは言えない状況になっている。
【写真は連続爆破事件のあった現場近くにあるキアポ教会】
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