6月2日午前0時過ぎ、マニラ国際空港第3ターミナル前にある複合施設『リゾート・ワールド・マニラ』【写真】内のカジノ施設に銃で武装した何者かが押し入ってガソリンのような物を撒いて放火。

同カジノ内は火と猛煙に包まれカジノ客と従業員38人が死亡。重軽傷者80人近くを生じる強盗事件が起きた。
死傷者の大半は猛煙による窒息死で、防火対策のないカーペットや内装のために煙が現場内に充満し、カジノ施設側に排煙施設がないことなどカジノ運営側の設備過失が被害を大きくしたと指摘されている。
襲撃犯はカジノ前の駐車場に乗り付け、2階にあるカジノへ銃で威嚇して入り込み、カジノチップを管理する部屋やモニター・テレビに発砲し、1億ペソ(約2億6千万円)相当のチップを強奪。
同時にカジノ・テーブルにガソリンのような液体を撒いて放火し、カジノのあるホテル5階の部屋に侵入し、同室内で身体に火をつけて自殺した。
犯人の身元については焼身自殺した遺体の損傷が激しく、監視カメラからは『白人』としか分からず、捜査当局は犯人をカジノまで車で送った運転手を参考人として取り調べている。
この事件に対してイスラム国(IS)が犯行声明を出したが、捜査当局はチップ強奪目的の強盗事件であって、政治的背景はないと否定している。
しかし、戒厳令が布告中のミンダナオ島南ラナオ州マラウィ市でのイスラム系武闘組織と国軍の交戦が続いている最中に発生した事件であり、何らかのつながりがあるのではとの見方もある。
また、動機は分からず、現金ではなくチップという外部に持ち出しても価値のない物を狙ったことも事件の真相を覆い隠している。
事件のあった『リゾート・ワールド・マニラ』はカジノとホテルやショッピング・センターを含む複合施設で軍の跡地に造られ、マリオット・ホテルを始め現在4つのホテルがあり、ヒルトンやシェラトンなど著名ホテルが開業予定となっている。
こういった高級で大規模な集客施設は防火対策と警備体制は万全と思われがちだが、今回の事件でフィリピンの防火と警備には穴があることを露呈した。
過去には1996年3月18日、マニラ首都圏ケソン市にあった『オゾン・ディスコ』で火災が発生し、162人が焼死するフィリピン火災史上最大の事件もあり、マニラ湾沿いに次々と出現している巨大カジノ施設でも、今回と同じ事件が発生するのではないかとの声もある。
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